アプリを App Store や Google Play で公開しようとすると、プライバシーポリシーの URL を求められます。個人で作った小さなアプリでも、これは避けて通れません。
この記事では、個人開発のアプリのプライバシーポリシーを作るときに、ストアから求められること、書く項目、公開する場所を順に紹介します。内容は、2026年10月時点の Apple と Google の公式のガイドライン、総務省の案内、個人情報保護法の条文をもとにしています。
なお、この記事は一般的な情報をまとめたもので、法律の助言ではありません。アプリの内容によって必要なことは変わるので、判断に迷うときは弁護士などの専門家に相談してください。
結論:アプリが扱う情報を書き出してから、項目を埋めていく
プライバシーポリシーは、ひな形の文章から始めるのではなく、自分のアプリが扱う情報を書き出すところから始めます。 何の情報を、何のために、どこへ送っているかが分かれば、書くべき内容はほとんど決まります。
プライバシーポリシーとは
プライバシーポリシーは、アプリやサービスが利用者の情報をどのように取得し、使い、管理するかを説明する文書です。 利用者は、これを読んで、安心してアプリを使えるかを判断します。
個人開発のアプリでも必要な理由
App Store・Google Play で必須になっている
App Store と Google Play では、すべてのアプリにプライバシーポリシーが求められています。 個人のアプリも、データを集めないアプリも例外ではありません。
| App Store | Google Play | |
|---|---|---|
| 必要なアプリ | すべてのアプリ | すべてのアプリ |
| 載せる場所 | App Store Connect の所定の欄と、アプリ内のアクセスしやすい場所 | Play Console の所定の欄と、アプリ内(リンクまたは本文) |
| 書く内容の例 | 収集するデータの種類、収集の方法、用途。データの保存・削除の方針と、削除を求める方法 | 開発者の情報と連絡先、扱うデータの種類、安全に扱うための手順、データの保持と削除の方針 |
| 出典 | App Review ガイドライン 5.1.1 | ユーザーデータ ポリシー |
Google Play では、プライバシーポリシーは「アクセス制限のない一般公開の有効な URL(PDF は不可)」で、編集できない状態にすることも求められています。
分析ツールや広告などの外部の SDK を使う場合も、その SDK が扱うデータを含めて考える必要があります。 Apple のガイドラインでは、データを共有する外部のサービスが、アプリと同じレベルでデータを守っていることを確認するよう求めています。
法律との関係
個人情報保護法では、個人情報を扱う事業者に、利用目的の通知・公表などを求めています。 個人情報保護法の第21条では、個人情報を取得したときは、あらかじめ利用目的を公表している場合を除き、速やかに利用目的を本人に通知するか公表することが定められています。第32条では、事業者の氏名または名称と住所、利用目的、開示などの求めに応じる手続きなどを、本人が知りうる状態に置くことが定められています(本人の求めに応じて遅滞なく回答する場合を含みます)。プライバシーポリシーは、こうしたことを利用者に伝える方法としてよく使われています。
また、電気通信事業法の「外部送信規律」が、アプリに関係する場合もあります。 総務省の案内によると、2022年の法改正で設けられた規律で、SNS、メッセージ、検索、ニュースなどの情報を提供するサービスを、アプリやブラウザを通じて提供し、利用者の情報を外部に送るプログラム(広告や分析のツールなど)を使う場合が対象です。対象になると、送信される情報の内容、送信先の名前、利用目的を、利用者に通知するか、すぐに分かる場所に表示する必要があります。対象になるかどうかは、総務省のページのフローチャートで確認できます。

作る前に、アプリが扱う情報を書き出す
まず、自分のアプリが扱う情報を、次のような観点で書き出しましょう。
- 利用者が入力する情報:メールアドレス、名前、ニックネーム、投稿した文章や画像など
- 端末から取得する情報:端末の識別子、位置情報、カメラや写真、連絡先など
- アカウントに関する情報:ログインに使う外部サービス(Apple・Google などのアカウント連携)
- 外部の SDK が集める情報:広告、アクセス解析、クラッシュレポートなどのツールが送る情報
- サーバーに保存する情報:どこに、どのくらいの期間保存するか
外部の SDK については、それぞれの SDK の公式のドキュメントで、どんなデータを集めるかを確かめます。自分のコードでは何も集めていなくても、SDK が情報を送っている場合があるからです。
プライバシーポリシーに書く項目
ストアの要件と法律をふまえると、個人開発のアプリでは、次の項目を書いておくのが基本です。
提供者の名前と連絡先
アプリを提供している人の名前と、問い合わせの連絡先を書きます。 個人の場合は、個人名や屋号と、問い合わせ用のメールアドレスやフォームを載せることが多いです。
取得する情報と、取得の方法
書き出した情報を、「利用者が入力するもの」「自動で取得するもの」などに分けて書きます。 たとえば「アカウント登録のときに入力されたメールアドレス」「アプリの利用状況(アクセス解析ツールを通じて取得)」のように、取得の方法も一緒に書くと伝わりやすくなります。
情報を使う目的
取得した情報を、何のために使うかを書きます。 「ログインのため」「お問い合わせに返信するため」「アプリの改善のため」「広告を表示するため」など、具体的に書きましょう。
外部への送信・第三者への提供
広告や分析などの外部のサービスに情報を送っている場合は、送信先のサービスの名前、送る情報、目的を書きます。 送信先のサービスのプライバシーポリシーへのリンクも載せておくと、利用者が詳しく確かめられます。
データの保存と削除、問い合わせの方法
情報をどのくらいの期間保存するか、利用者がデータの削除を求めるにはどうすればよいかを書きます。 Apple・Google のどちらのストアも、この内容を求めています。
アカウントを作れるアプリでは、アカウントの削除の手段も必要です。Apple は、アカウントの作成に対応したアプリでは、アプリ内でアカウントを削除できるようにすることを求めています。Google Play は、アプリ内とアプリの外(Web サイトなど)の両方で、アカウントの削除を始められるようにすることを求めています。
改定の方法と、制定日・改定日
内容を変えるときにどう知らせるかと、いつ作ったか・いつ変えたかを書きます。 アプリに新しい機能や SDK を加えたときは、プライバシーポリシーも見直しましょう。
書き方の例
各項目は、短くても具体的に書くことが大切です。たとえば、広告の SDK を使っている場合は、次のように書けます。
■ 広告について
本アプリでは、広告の配信のために〇〇(広告サービスの名前)を利用しています。
〇〇は、広告の表示や効果の測定のために、端末の広告識別子などの情報を取得することがあります。
詳しくは、〇〇のプライバシーポリシー(URL)をご確認ください。
〇〇の部分には、実際に使っているサービスの名前と、そのサービスが公開している情報を入れてください。
ひな形や生成ツールを使うときの注意
ひな形や、質問に答えると文章を作ってくれるツールは便利ですが、そのまま使うのは避けましょう。 ひな形は一般的なアプリを想定して書かれているので、自分のアプリが使っていない機能が書かれていたり、使っている SDK が抜けていたりすることがあります。
使うときは、最初に書き出した「アプリが扱う情報」と見比べて、一行ずつ自分のアプリに合わせて直します。英語で作られた文章を使う場合は、日本語の利用者にも分かるように整えましょう。
プライバシーポリシーを公開する場所
プライバシーポリシーは、誰でも開ける Web ページとして公開し、その URL をストアに登録します。 アプリの紹介サイトを持っているなら、その中に置くのがいちばん分かりやすい方法です。
紹介サイトがない場合は、静的なページを無料で公開できるサービスを使う方法もあります。どの方法でも、次の点を確かめましょう。
- ログインしなくても、誰でも開けるか
- 第三者が編集できない状態になっているか(Google Play の要件)
- PDF ではなく、Web ページになっているか(Google Play の要件)
- アプリの中からも、すぐに開けるようになっているか(両方のストアの要件)
ストアに登録する「プライバシー情報」も忘れずに
プライバシーポリシーとは別に、ストアの管理画面で、アプリが扱うデータを申告する必要があります。
- App Store:App Store Connect で、アプリのプライバシーに関する質問に答えます。収集するデータの種類、使う目的、利用者に紐づけるか、トラッキングに使うかを回答し、組み込んだ外部のコードが扱うデータも含めます。回答の内容は、App Store のアプリのページに表示されます
- Google Play:Play Console で、データ セーフティのフォームに記入します。データを集めないアプリも記入が必要で、サードパーティのライブラリや SDK が集めるデータも含めます

ストアへの申告と、プライバシーポリシーの内容は、食い違わないようにしましょう。 同じ「アプリが扱う情報」の書き出しをもとに作ると、そろえやすくなります。
まとめ
- App Store・Google Play では、すべてのアプリにプライバシーポリシーが必要
- まずアプリが扱う情報(外部の SDK が集める情報も含む)を書き出す
- 提供者と連絡先、取得する情報と方法、目的、外部への送信、保存と削除、改定の方法を書く
- ひな形はそのまま使わず、自分のアプリに合わせて直す
- 誰でも開ける Web ページで公開し、ストアのプライバシー情報の申告とそろえる
プライバシーポリシーの準備ができたら、ストアのページも整えましょう。ストアでの見せ方はASOとは?、アプリづくり全体の流れは個人開発アプリの始め方でまとめています。