特商法表記と利用規約の作り方|個人開発で有料サービスを始める前に

Devoch 編集部

個人開発のアプリや Web サービスで有料プランを始めるときに必要な「特定商取引法に基づく表記」と、利用規約の作り方を紹介します。書く項目、住所や電話番号を省略できる場合、利用規約に入れる内容と注意点をまとめました。

作った Web サービスに有料プランをつけたい。でも、「特定商取引法に基づく表記」や利用規約が必要と聞いて、何を書けばいいのか、自宅の住所まで載せないといけないのか、と不安になっている人は多いと思います。

この記事では、個人開発で有料のサービスを始めるときに用意する、特商法の表記と利用規約の作り方を紹介します。

この記事は、一般的な情報をまとめたものです。法律の解釈や個別のケースについては、消費者庁の案内を確認し、必要に応じて弁護士などの専門家に相談してください。

特定商取引法に基づく表記とは

「特定商取引法に基づく表記」は、インターネットなどで商品やサービスを売るときに、売り手の情報や取引の条件を示すための表示です。 特定商取引法(特商法)は、消費者とのトラブルを防ぐための法律で、インターネットでの販売は「通信販売」として、広告に表示しなければならない事項が決められています。

特定商取引法ガイドの「通信販売」ページ
出典:消費者庁 特定商取引法ガイド「通信販売」(https://www.no-trouble.caa.go.jp/what/mailorder/)2026年10月14日撮影

消費者庁の特定商取引法ガイドでは、通信販売を「事業者が新聞、雑誌、インターネット等で広告し、郵便、電話等の通信手段により申込みを受ける取引」と説明しています。Web サービスの有料プランやダウンロード販売なども、これに当たります。

個人開発でも必要になる場合

個人でも、有料の商品やサービスを継続して販売するなら、特商法の表記が必要になると考えておきましょう。 会社かどうかではなく、販売を事業として行っているかどうかが目安になります。

ケース 特商法の表記
無料で公開しているアプリ・サービス 基本的には不要
自分のサイトで有料プランやデジタル商品を売る 必要と考えて用意する
寄付・投げ銭を受け付ける 内容によるので、使うサービスの案内を確認する

決済サービスによっては、審査や利用の条件として、特商法の表記を掲載することを求められることもあります。収益化の方法全体は、個人開発の収益化の方法で紹介しています。

特商法の表記に書く項目

特定商取引法ガイドでは、通信販売の広告に表示する事項として、次のようなものが挙げられています。 Web サービスでよく関係するものを中心にまとめました。

項目 書く内容の例
販売事業者の氏名(名称) 個人なら本名。屋号を書く場合も氏名が必要
住所 事業者の住所
電話番号 連絡のつく電話番号
販売価格 「月額〇〇円(税込)」など、税込みの価格
価格以外に必要な費用 通信料など、利用者が負担するもの
代金の支払時期と方法 「申込み時にクレジットカードで決済」など
商品の引渡時期 「決済完了後、すぐに利用可能」など
申込みの撤回・解除(返品)について 返金できるか、できない場合はその旨
ソフトウェアの動作環境 対応するブラウザ、OS など
継続契約の条件 サブスクリプションなら、自動更新されることと、解約の方法

サブスクリプションの場合は、「自動で更新される」「いつまでに解約すれば次の請求がないか」を、分かりやすく書いておくことが大切です。

住所・電話番号を省略できる場合

特定商取引法ガイドによると、広告に「消費者から請求があれば、遅滞なく書面(インターネット通販では電子メールでも可)で提供する」旨を表示し、実際に提供できる体制を整えていれば、一部の事項の表示を省略できます。 省略できる事項には、事業者の氏名・住所・電話番号が含まれています。

つまり、表記のページには「請求があった場合には、遅滞なく電子メールにて開示いたします」と書き、問い合わせがあればすぐに情報を送れるようにしておく、という方法です。ただし、次のような事項は省略できないとされています。

自宅の住所を公開したくない場合は、この方法のほか、バーチャルオフィスの住所を使う方法もあります。ただし、実際に連絡や郵便物の受け取りができることが前提です。

申込みの最終確認画面にも表示が必要

インターネットで申込みを受ける場合は、申込みを確定する直前の画面(最終確認画面)にも、決められた事項を表示する必要があります。 特定商取引法ガイドでは、分量、販売価格、支払の時期と方法、引渡時期、申込期間、申込みの撤回・解除に関する事項が挙げられています。

決済画面に進む前の確認画面で、価格、支払い方法、更新の条件、解約や返金のルールが一目で分かるようにしておきましょう。

利用規約とは:サービスを使うときのルール

利用規約は、サービスを使う人と運営者の間のルールを決めた文書です。 法律で必ず作らなければならないものではありませんが、トラブルが起きたときに「どんなルールで使ってもらっていたか」を示す根拠になります。ユーザーが投稿できるサービスや、有料のサービスでは、用意しておくのがおすすめです。

利用規約に入れる主な項目

個人開発の小さなサービスなら、次の項目があれば基本は押さえられます。

項目 書く内容
適用範囲 この規約が、どのサービスに適用されるか
利用登録・アカウント 登録の条件、アカウントの管理は利用者の責任であること
料金と支払い 有料プランの料金、支払い方法、返金の扱い
禁止事項 法律に反する行為、他人への迷惑行為、不正アクセスなど
投稿されたコンテンツの扱い 権利は誰にあるか、運営者がどこまで使えるか
サービスの変更・停止 予告して内容を変えたり、終了したりできること
利用の制限・登録の削除 規約違反があった場合の対応
免責事項 運営者が責任を負わない範囲
規約の変更 規約を変える場合の手続きと、知らせる方法
準拠法・管轄裁判所 どの国の法律に従い、どこの裁判所で争うか

個人情報の扱いは、利用規約とは別に、プライバシーポリシーとしてまとめるのが一般的です。書き方はアプリのプライバシーポリシーの作り方で紹介しています。

免責事項は書きすぎに注意する

「どんな場合も運営者は一切責任を負わない」と書いても、その通りになるとは限りません。 消費者契約法では、事業者が消費者に与えた損害について、賠償する責任の全部を免除する条項などは無効になると定められています。

e-Gov 法令検索の「消費者契約法」ページ
出典:e-Gov 法令検索「消費者契約法」(https://laws.e-gov.go.jp/law/412AC0000000061)2026年10月14日撮影

免責事項は、「サービスの中断によって生じた損害について、運営者の故意または重大な過失による場合を除き、責任を負わない」のように、範囲を限って書くのが一般的です。

作るときのポイント

特商法の表記も利用規約も、ひな形を参考にしながら、自分のサービスに合わせて書き直すことが大切です。

AI に下書きを作ってもらうこともできますが、その場合も、内容が自分のサービスの実際と合っているか、最新の法律に沿っているかは、自分で確かめる必要があります。

まとめ

有料化は、作ったサービスを続けていくための大事な一歩です。準備を整えて、安心して使ってもらえる形で始めましょう。

公開したサービスは、Devoch に掲載して、使ってくれる人に届けることができます。

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