個人開発をしてみたい。プログラミングもある程度できる。それなのに、何を作ればいいかが決まらない。個人開発を始めようとした人の多くが、最初にぶつかる壁です。
この記事では、個人開発のアイデアの見つけ方を7つ紹介します。あわせて、思いついたアイデアの中から作るものを選ぶときに確かめたいことと、それでも作りたいものが見つからないときの始め方もまとめました。
結論:アイデアは「思いつく」より「見つけて、選ぶ」
個人開発のアイデアは、ひらめきを待つよりも、身の回りから見つけるほうが確実です。
- 見つける:自分や身近な人の「面倒くさい」、使っているサービスへの不満、好きな分野から、作れそうなものを書き出す
- 選ぶ:書き出した中から、自分が使いたいか、小さく作れるか、続けられるか、で絞り込む
- 小さく始める:最小限の機能だけを決めて、まず1つ完成させる
最初から「誰も思いつかないすごいアイデア」を探す必要はありません。
アイデアが出ない・決まらない理由
すごいアイデアを探してしまう
アイデアが出ない一番の理由は、「大きくて新しいもの」を作ろうとすることです。 世の中を変えるようなサービスや、誰も見たことのないアプリを考えようとすると、思いつかないか、思いついても大きすぎて完成までたどり着けません。
個人開発で作りやすいのは、むしろ小さな不便を1つ解決するものです。範囲が狭いほど、作り始めやすく、完成させやすくなります。
「もう誰かが作っている」で止まってしまう
アイデアを思いついて調べたら、似たものがすでにあった。それだけで諦める必要はありません。 似たサービスがあるということは、それを必要としている人がいる、ということでもあります。
既存のものより使い方を絞る、特定の人向けにする、日本語で使いやすくする、操作を簡単にするなど、少し違う切り口を加えれば、自分が作る意味が生まれます。何より、自分で使うために作るなら、似たものがあっても気にする必要はありません。
アイデアの見つけ方7選
1. 自分の「面倒くさい」を書き出す
いちばん確実なアイデアの元は、自分自身の困りごとです。 1日の中で「面倒だな」「毎回同じことをしているな」と感じた場面を、メモに書き出してみましょう。
たとえば、毎週同じ形式でまとめている記録、複数のサイトを行き来して調べていること、手作業でコピーしている情報などです。自分が困っていることなら、何が必要かを一番よく分かっているのも自分なので、迷わず作り進められます。
2. 身近な人の困りごとを聞く
家族や友人、同僚が困っていることにも、アイデアは隠れています。 「最近、何か面倒なことある?」と聞いてみたり、誰かが不便そうにしている場面に気づいたりしたら、メモしておきましょう。
身近な人のための道具は、作ったらすぐに使ってもらえて、感想も直接聞けます。最初のユーザーがいる状態で作り始められるのは、大きな利点です。
3. 好きなこと・詳しい分野から考える
趣味や仕事など、自分が詳しい分野は、アイデアの宝庫です。 好きなゲームの記録をつけたい、趣味の道具を管理したい、仕事で使う計算を簡単にしたいなど、その分野に詳しい人だけが気づく不便があります。
詳しい分野のプロダクトは、使う人の気持ちが分かるので作りやすく、同じ趣味や仕事の人が集まる場所に届けやすいという利点もあります。
4. 使っているサービスの不満から考える
普段使っているアプリやサービスに「ここがもう少しこうだったら」と感じることはありませんか。 その不満は、ほかの人も感じているかもしれません。アプリストアのレビューを読むと、利用者がどこに不満を持っているかがよく分かります。
既存のサービスを丸ごと作り直す必要はありません。不満のある1つの機能だけを、もっと使いやすくした小さな道具を作る、という考え方で十分です。
5. SNS や Q&A サイトの質問を観察する
「〇〇する方法はありますか?」「〇〇できるアプリを探しています」という質問は、そのままアイデアになります。 SNS や Q&A サイト、趣味のコミュニティの掲示板などで、同じような質問が何度も出ているなら、それを解決する道具を必要としている人がいる証拠です。
質問への答えが「手作業でやるしかない」「良いものがない」で終わっているものは、特に作る価値があります。
6. 使えるデータや技術から考える
困りごとからではなく、「使えるもの」から考える方法もあります。 公開されている API やオープンデータを眺めて、「このデータを、こう見せたら便利かも」と考えると、技術的に作れるかどうかが最初から見えているアイデアが出てきます。

たとえば、デジタル庁が運営する e-Gov データポータルは、中央省庁のオープンデータを探せるサイトです。人口・世帯、運輸・観光などのカテゴリや、データを提供している組織から、データセットを検索できます。気になるデータを見つけたら、それを使う人がどんな場面で困っていそうかを考えてみましょう。
ほかにも、新しく覚えた技術や、使ってみたいライブラリを試すために小さなものを作る、というのも立派なきっかけです。
7. ほかの人の作品を見る
ほかの個人開発者が作ったものを見ると、「こういうものを作ってもいいんだ」という感覚がつかめます。 個人開発のプロダクトを紹介しているサイトや、ゲームジャムの作品を眺めてみましょう。
そのまま真似をするのではなく、「自分ならこうする」「この分野の別の困りごとにも使えそう」と考えると、自分のアイデアに広がっていきます。個人開発のプロダクトが集まっているサイトは、個人開発アプリ・Webサービスを載せられる紹介サイトまとめで紹介しています。
作る前に確かめたい、アイデアの選び方
アイデアがいくつか集まったら、作るものを選びます。次の5つを確かめると、途中で止まりにくいアイデアを選べます。
自分が使いたいと思えるか
個人開発は、作るのも直すのも自分です。 自分が使いたいと思えないものは、作る途中で手が止まりやすくなります。完成したあとに自分で使い続けられるものなら、改善のアイデアも自然に出てきます。
小さく作り始められるか
最初の1つの機能だけなら、数日から数週間で作れるくらいの大きさかを考えましょう。 ログイン、決済、SNS 機能などを最初から全部入れようとすると、完成が遠のきます。最小限の形で「使える」状態にできるアイデアほど、選ぶ価値があります。
続けられるか(費用・運用の手間)
公開したあとも、サーバー代や API の利用料、問い合わせへの対応などがかかります。 利用者が増えるほど費用が増える仕組みや、毎日手作業での更新が必要な仕組みは、個人では続けにくいことがあります。収益がなくても続けられる範囲かどうかを、作る前に考えておきましょう。
必要としている人がいるか
自分以外にも使う人がいそうかを、簡単に確かめておくと安心です。 関連する言葉がどのくらい検索されているかを調べたり、SNS で同じ悩みを書いている人を探したりする方法があります。
検索の動きを調べるには Google トレンドが手軽です。ただし、Google トレンドで表示される数値は実際の検索数ではなく、その地域と期間の中での相対的な人気度を0〜100で表したものです(Google トレンドのデータに関するよくある質問)。言葉どうしの比較や、関心が増えているか減っているかを見るのに使いましょう。
届ける相手と場所を想像できるか
作ったあとに、誰に、どこで知らせるかが想像できるかも大切です。 「〇〇が好きな人が集まるコミュニティで紹介できる」「この仕事をしている人が使う SNS で知らせられる」といった届け先が思い浮かぶアイデアは、公開したあとに使ってもらいやすくなります。宣伝の方法は、個人開発アプリ・ゲームの宣伝方法でまとめています。
それでも作りたいものがないときは
普段使っているアプリを、自分用に作り直してみる
アイデアが見つからないときは、すでにあるものを作ってみるのも良い練習です。 メモ帳、ToDo リスト、タイマー、家計簿など、普段使っているアプリを、自分の使い方に合わせて作り直してみましょう。
作っているうちに「ここは自分ならこうしたい」という点が見つかり、それがオリジナルのアイデアにつながることもあります。
練習と割り切って、小さなものを1つ完成させる
最初の1つは、アイデアの良し悪しより「完成させること」を目標にしましょう。 小さくても、作って公開するところまでやり切ると、設計、公開、宣伝までの流れが一通り分かります。その経験があると、次に良いアイデアを思いついたときに、すぐ形にできるようになります。
アイデアが決まったら:最初に決めておくこと
作るものが決まったら、手を動かす前に次の3つを決めておくと、途中で迷いにくくなります。
- 一文の説明:「〇〇な人が、△△するためのもの」と一文で言えるようにする
- 最小限の機能:これがないと使えない、という機能だけを書き出す。それ以外は後回しにする
- 名前:仮の名前でも構わないので、呼び名を決める。愛着がわき、人に説明しやすくなる
一文の説明は、完成したあとの紹介文や宣伝にもそのまま使えます。
まとめ
個人開発のアイデアは、次の流れで見つけると、作り始めやすくなります。
- 自分や身近な人の困りごと、好きな分野、使っているサービスへの不満から、アイデアを書き出す
- SNS や Q&A サイトの質問、公開データ、ほかの人の作品もヒントにする
- 自分が使いたいか、小さく作れるか、続けられるか、必要な人がいるか、届け先があるかで選ぶ
- 一文の説明と最小限の機能を決めて、まず1つ完成させる
完成したプロダクトは、紹介サイトに載せたり SNS で知らせたりして、使ってくれる人に届けていきましょう。
個人開発の全体の流れは、個人開発アプリの始め方でまとめています。