時間をかけて作ったアプリやゲームを公開したのに、ほとんど使われない。個人開発では、とてもよくあることです。良いものを作っても、知ってもらえなければ使われることはありません。
この記事では、個人の作り手が使える宣伝方法を、お金をかけずに始められるものから順に 紹介します。宣伝を始める前に整えておくことと、アプリ・Web サービス・ゲームの種類別に「どこから始めるか」もまとめました。
結論:まずは無料でできることから順番に
個人開発の宣伝は、広告から始める必要はありません。まずは無料でできることを積み重ね、反応を見ながら広げていくのが基本です。
| 宣伝方法 | 費用 | 向いているプロダクト | 手間 |
|---|---|---|---|
| X で告知・開発の過程を発信 | 無料 | すべて | 継続して少しずつ |
| 技術記事(Qiita・Zenn・note) | 無料 | すべて(特に開発者向け) | 1本ごとにまとまった時間 |
| 知り合い・コミュニティに直接頼む | 無料 | すべて | 少ない |
| プロダクト紹介サイトに載せる | 無料のものが多い | すべて | 少ない |
| ゲーム投稿サイト・ゲームジャム | 無料 | ゲーム | 少ない〜中 |
| ストアの見せ方を整える(ASO) | 無料 | スマホアプリ | 少ない |
| ブログ・検索からの集客(SEO) | 無料 | Web サービス・アプリ | 長く続ける必要がある |
| 勉強会・LT で話す | 無料〜少額 | 開発者向け・技術的な工夫があるもの | 中 |
| プレスリリース | 無料〜有料 | 法人・話題性のあるもの | 中 |
| SNS 広告・検索広告 | 有料 | 収益化の見通しがあるもの | 運用が必要 |
| インフルエンサー・実況者への依頼 | 無料〜有料 | ゲーム・見た目で伝わるもの | 中 |
上から順に試し、手応えのあったものに時間を使うのがおすすめです。
宣伝を始める前に整えておくこと
宣伝で人を呼んでも、来た人が「何のためのものか」をすぐ理解できなければ、使われずに帰ってしまいます。告知の前に、次の3つを整えておきましょう。
「誰の、どんな困りごとを解決するか」を一文で言えるようにする
宣伝のすべての文章は、この一文から作られます。 「〇〇な人が、△△するためのアプリ」のように、使う人と使う場面が浮かぶ言葉にしておくと、SNS の投稿、紹介文、ストアの説明文がぶれなくなります。機能の多さよりも、誰のためのものかが伝わることを優先しましょう。
紹介ページと、SNS で共有されたときの見え方を整える
告知した URL が、最初の印象になります。 公式サイトや紹介ページには、何ができるか、どう使うか、どこから始められるかを1画面目で伝わるように書いておきます。
あわせて、X などで URL を共有したときに表示される画像(OGP 画像)とタイトルも確認しておきましょう。画像が出ない、タイトルが分かりにくいといった状態だと、せっかくの告知が目に留まりにくくなります。
紹介文・スクリーンショット・短い動画を用意する
同じ素材を、いろいろな場所で使い回せるようにしておきます。 短い紹介文(1〜2文)と長い紹介文、使っている画面のスクリーンショット数枚、動きが伝わる10〜30秒ほどの動画や GIF があると、SNS、紹介サイト、ストア、プレスリリースのどれにもすぐ使えます。
お金をかけずに始められる宣伝方法
X で告知し、開発の過程も発信する
個人開発の宣伝で、最初に試しやすいのが X です。 リリースの告知だけでなく、作り始めた理由、作っている途中の画面、つまずいたことなどを発信しておくと、リリースのときに興味を持ってくれる人が増えます。
告知は1回で終わらせず、機能を追加したとき、使った人の声が届いたときなど、きっかけごとに繰り返して構いません。動画や GIF をつけると、文章だけより伝わりやすくなります。
作った過程を技術記事にする(Qiita・Zenn・note)
作り手の視点で書いた記事は、それ自体が宣伝になります。 使った技術、設計で工夫したこと、作ってみて分かったことを Qiita や Zenn、note に書き、記事の中でプロダクトを紹介します。
技術記事を読むのは主に開発者なので、開発者向けのツールとは特に相性が良い方法です。一般向けのプロダクトの場合は、「なぜ作ったか」「どんな人に使ってほしいか」を中心にした読みものにすると、読む人の幅が広がります。
知り合いやコミュニティに直接使ってもらう
最初の数人のユーザーは、直接お願いして集めるのが近道です。 友人や同僚、所属している開発者コミュニティ、プロダクトのテーマに関わる趣味のコミュニティなどで、「使ってみて感想をもらえませんか」と頼んでみましょう。
この段階で大事なのは人数よりも感想です。どこで迷ったか、何が良かったかを聞いて改善しておくと、そのあとの宣伝の効果が上がります。コミュニティで紹介するときは、宣伝の投稿が認められているかどうか、ルールを確認してからにしましょう。
プロダクト紹介サイトに載せる
新しいプロダクトを探している人が集まる場所に、作品を置いておく方法です。 海外では Product Hunt がよく知られていて、無料のアカウントで誰でもプロダクトを投稿できます。その日のランキングは、投票(アップボート)やコメントの数などで決まります(公式の説明)。
日本語で紹介したい場合は、国内の紹介サイトも選択肢になります。Devoch は、サービス・アプリ・ゲームの作り手が、自分の言葉で紹介ページを書いて掲載できる場所です。「どんな思いで、誰のために作ったのか」を伝えるページとして使えます。国内外の掲載先は、個人開発アプリ・Webサービスを載せられる紹介サイトまとめでまとめています。

ゲームは投稿サイトとゲームジャムを使う
ゲームの場合は、まず遊ぶ人が集まる投稿サイトに公開するのが基本です。 ふりーむ!、unityroom、PLiCy など、ブラウザで遊べる形式やダウンロード型など、サイトごとに得意な分野があります。どこに公開するか迷ったら、フリーゲーム投稿サイトまとめで比較しています。
投稿サイトが開くゲームジャムやコンテストに参加すると、参加者どうしで遊び合ったり、感想をもらえたりして、作品を見てもらうきっかけが増えます。
アプリストアでの見せ方を整える(ASO)
スマホアプリは、ストアの中で検索されて見つかることが多くあります。 ストアでの見つけられやすさを整えることを ASO(App Store Optimization)と呼びます。
App Store では、アプリ名(30文字)、サブタイトル(30文字)、キーワード(100文字)が検索の対象になります。Google Play では、アプリ名(30文字)と簡単な説明(80文字)、詳しい説明(4,000文字)が使われます。使ってほしい人が検索しそうな言葉を、これらの欄に自然に入れておきましょう。スクリーンショットの1〜2枚目で、何ができるアプリなのかが伝わるようにすることも大切です。

Apple は、App Store のプロダクトページの作り方を Apple Developer のページで案内しています。アプリ名やスクリーンショットを決めるときの参考になります。
ブログや検索から見つけてもらう(SEO)
検索から人が来るようになると、宣伝を続けなくても使う人が増えていきます。 プロダクトが解決する困りごとについて、使う人が検索しそうなテーマで記事を書き、その中でプロダクトを紹介します。たとえば家計簿アプリなら、「家計簿が続かない理由」のような記事です。
効果が出るまでに時間がかかるので、ほかの方法と並行して、少しずつ続けるのが向いています。
勉強会や LT で話す
技術的な工夫があるプロダクトなら、勉強会のライトニングトーク(LT)で話すのも有効です。 5分ほどの発表で「何を作ったか」「どう作ったか」を紹介すると、その場の参加者に加えて、資料を共有したあとに見てくれる人にも届きます。オンラインで開かれる勉強会も多いので、住んでいる場所に関係なく参加できます。
費用をかける宣伝方法
無料の方法で手応えが見えてきたら、費用をかける方法も検討できます。
プレスリリースを配信する
プレスリリースは、新しいサービスの公開をメディアや記者に知らせる方法です。 配信サービスの多くは有料ですが、条件を満たすと無料で配信できるプログラムもあります。たとえば PR TIMES の「スタートアップチャレンジ」は、設立24か月以内の国内の株式会社などを対象に、月1回・計10回まで無料で配信できる制度です(PR TIMES のよくある質問)。個人の場合は対象にならないことが多いので、条件をよく確認しましょう。

配信すれば必ず記事になるわけではないので、話題性のある切り口(新しさ、社会的な背景、作り手のストーリーなど)を考えてから使うのがおすすめです。
SNS 広告・検索広告を出す
広告は、狙った人に確実に届けられる一方で、費用がかかり続けます。 X や Instagram などの SNS 広告、Google の検索広告、App Store の広告(Apple Ads。2025年4月に Apple Search Ads から名前が変わりました)などがあります。
個人開発では、どのくらいの費用で何人に使ってもらえたかを計測し、収益で回収できる見通しが立ってから広げるのが安全です。まずは少額で試し、反応のある内容を見極めましょう。
インフルエンサーや実況者に紹介を頼む
ゲームや見た目で魅力が伝わるプロダクトは、動画で紹介してもらうと広がりやすくなります。 ゲームなら、実況してよいかどうかを作品ページに明記しておくだけでも、取り上げてもらえる可能性が上がります。依頼する場合は、相手のチャンネルの内容や視聴者とプロダクトが合っているかを確認し、有償の依頼なら広告であることを明示してもらう必要があります。
種類別:どこから始めるか
スマホアプリ
まずは ストアの見せ方(ASO) を整え、X での告知と、知り合いに使ってもらうことから始めましょう。ストアのアプリ名と説明文、スクリーンショットは、ほかのすべての宣伝の受け皿になります。
Web サービス
紹介ページと OGP を整えてから、X での告知、技術記事、プロダクト紹介サイトへの掲載を進めます。検索から人が来るテーマがあるなら、ブログでの集客も早めに始めておくと、あとで効いてきます。
ゲーム
まずは 投稿サイトに公開 し、遊んでいる様子が伝わる動画や GIF で X に告知します。ゲームジャムやコンテストへの参加、実況の許可の明記もあわせて行いましょう。
宣伝でつまずきやすいポイント
告知を1回で終わらせてしまう
1回の告知で届くのは、そのとき画面を見ていたごく一部の人だけです。 アップデート、使った人の声、開発の裏話など、伝える内容を変えながら、何度も告知して構いません。
フォロワーと、使ってほしい人がずれている
開発者のフォロワーが多いアカウントで、一般向けのアプリを告知しても、届きたい人に届かないことがあります。 使ってほしい人が集まる場所(趣味のコミュニティ、そのテーマのハッシュタグなど)で発信する、プロダクト専用のアカウントを作るといった工夫を検討しましょう。
反応を見ずに、宣伝の量だけ増やす
宣伝で人が来ても、使い続けてもらえなければ広がりません。 どこから人が来て、どこで離れているのかをアクセス解析で確かめ、紹介ページや最初の使い方を改善するほうが、宣伝を増やすより効果的なこともあります。
まとめ
個人開発の宣伝は、次の順番で進めると無理なく続けられます。
- 誰のためのプロダクトかを一文にし、紹介ページ・OGP・素材を整える
- X での発信、知り合いへの声かけ、紹介サイトへの掲載など、無料の方法から始める
- アプリは ASO、Web サービスは SEO、ゲームは投稿サイトと、種類に合った方法を重ねる
- 手応えが見えてから、プレスリリースや広告など費用のかかる方法を検討する
作ったものを知ってもらうことは、作ることと同じくらい大切な仕事です。できることから一つずつ試していきましょう。
個人開発の全体の流れは、個人開発アプリの始め方でまとめています。