作りたいゲームのアイデアはあるけれど、頭の中にあるだけで、うまく形になっていない。企画書を書いたほうがいいと聞くけれど、何を書けばいいのか分からない。この記事は、そんな人のために書きました。
ゲーム企画書に入れる項目と、個人制作でそのまま使える1枚のテンプレート、面白さを伝えるコツを紹介します。
ゲーム企画書とは:ゲームの「面白さ」を伝える資料
ゲーム企画書は、「どんなゲームで、何が面白いのか」を、ほかの人が読んで分かるようにまとめた資料です。 ゲーム会社では、企画を通すため、チームで同じゴールを共有するために書かれます。
よく似た資料に「仕様書」があります。違いは次のとおりです。
| 企画書 | 仕様書 | |
|---|---|---|
| 目的 | ゲームの面白さを伝え、作る価値があると思ってもらう | 作るために必要なことを、もれなく決める |
| 書くこと | コンセプト、遊び方、ターゲット、売りになる点 | 画面の流れ、操作、数値、必要な素材の一覧など |
| 分量 | 1枚〜数枚 | 作るものに応じて多くなる |
個人でゲームを作るなら、最初から細かな仕様書まで作る必要はありません。まずは企画書を1枚書いて、「何を作るのか」をはっきりさせることから始めましょう。
個人制作でも企画書を書いたほうがいい理由
一人で作る場合でも、企画書を書いておくと、途中で迷ったときに立ち返る場所ができます。 理由は主に3つです。
- 作るものの範囲が決まる:「あれも入れたい、これも入れたい」と機能が増え続けて完成しない、という失敗を防げる
- 面白さの中心がぶれない:作っている途中で迷ったとき、「このゲームの売りは何だったか」を思い出せる
- 人に説明しやすくなる:仲間を誘う、テストプレイを頼む、紹介文を書くときに、そのまま使える
個人のゲーム制作で多い失敗は、作りたいものが大きすぎて完成しないことです。企画書は、作るものを小さく絞るための道具でもあります。
ゲーム企画書に入れる項目
企画書には、「何のゲームか」「誰に向けたものか」「何が面白いのか」が伝わる項目を入れます。 個人制作なら、次の項目があれば十分です。
タイトル(仮)とひとことで言うと
最初に、ゲームの名前(仮でいい)と、ひとことでの説明を書きます。 「〇〇して△△するゲーム」の形で、30文字くらいにまとめると、ゲームの核が見えてきます。
例:落ちてくる音符を、タイミングよく料理に変えるリズムゲーム
ここで言葉にできないなら、まだアイデアが固まっていない合図です。言えるようになるまで考えてみましょう。
ジャンル・プラットフォーム・プレイ時間
どんな種類のゲームで、どこで遊べて、どのくらいの時間で遊べるかを書きます。 プラットフォームは「ブラウザ」「Windows」「スマホ」など、公開先を決めておくと、使うゲームエンジンも選びやすくなります。
プレイ時間は、最初の作品なら「5〜15分で一通り遊べる」くらいを目安にすると、完成させやすくなります。
コンセプトと、ほかのゲームとの違い
このゲームで、遊ぶ人にどんな体験をしてほしいかを書きます。 「爽快感」「ドキドキ」「じっくり考える楽しさ」など、感じてほしい気持ちを言葉にしておくと、細かなところを決めるときの判断基準になります。
似たゲームがある場合は、そのゲームとどこが違うのかも書いておきます。違いがはっきりしているほど、遊んでもらう理由になります。
ターゲット(遊んでほしい人)
どんな人に遊んでほしいかを、できるだけ具体的に書きます。 「ゲームが好きな人」では広すぎます。「通勤中にスマホで少しだけ遊びたい人」「難しいアクションに挑戦したい人」のように、遊ぶ場面まで浮かぶ書き方にします。
遊び方(基本のルールと流れ)
プレイヤーが何をして、どうなったらクリア、どうなったら失敗なのかを書きます。 文章だけでなく、簡単な図や手描きの画面イメージがあると、ぐっと伝わりやすくなります。
ゲームの中で繰り返される「基本の遊び」(ジャンプして敵を避ける、カードを選んで戦う、など)を最初に書き、そのあとにステージや成長などの流れを書くと整理しやすくなります。
見た目と雰囲気
どんな絵柄、色、音楽の雰囲気にするかを書きます。 参考にしたい作品や、イメージに近い画像を並べておくと、言葉で説明するよりも早く伝わります。素材を自分で作るか、フリー素材を使うかもここで決めておきましょう。
制作の予定と範囲
いつまでに、どこまで作るかを書きます。 最初に「最低限これがあれば遊べる」という範囲と、「余裕があれば足したい」範囲を分けておくのがコツです。完成させることを最優先にして、足したい機能はあとに回せるようにします。
そのまま使える企画書テンプレート
個人制作なら、次の項目を1枚にまとめるだけで十分です。 テキストファイルやメモアプリにコピーして、埋めてみてください。
| 項目 | 書くこと |
|---|---|
| タイトル(仮) | ゲームの名前 |
| ひとことで言うと | 「〇〇して△△するゲーム」(30文字くらい) |
| ジャンル | アクション、パズル、RPG など |
| プラットフォーム | ブラウザ、Windows、スマホ など |
| プレイ時間 | 一通り遊ぶのにかかる時間 |
| 遊んでほしい人 | 遊ぶ場面が浮かぶくらい具体的に |
| 感じてほしいこと | 爽快感、緊張感、達成感 など |
| 基本の遊び | プレイヤーが繰り返す操作と、その結果 |
| クリアと失敗の条件 | どうなったら終わりか |
| ほかのゲームとの違い | 似たゲームと比べて、どこが新しいか |
| 見た目と音 | 絵柄、色、音楽の雰囲気、参考作品 |
| 最低限の範囲 | これがあれば遊べる、という最小の内容 |
| 余裕があれば | あとから足したい要素 |
| 完成の目標日 | いつまでに公開するか |
全部をきれいに埋める必要はありません。空欄が残る項目は、まだ考えが足りないところだと分かるのも、企画書を書く良さです。
面白さが伝わる企画書にするコツ
企画書で一番大事なのは、読んだ人が「遊んでみたい」と思えるかどうかです。 次の4つを意識してみてください。
- 最初の1行で核を伝える:説明を読み進めなくても、何のゲームか分かるようにする
- 絵や図を使う:手描きのラフでもいいので、画面のイメージを1枚入れる
- 面白さの理由を書く:「楽しい」ではなく、「なぜ楽しいのか」(判断の駆け引きがある、上達が目に見える、など)を書く
- 小さく作れる形にする:最初の作品は、1つの面白さに絞って磨く
企画を考えるもとになるアイデアが見つからないときは、個人開発のアイデアの見つけ方も参考にしてください。物語のあるゲームなら、ゲームシナリオの書き方もあわせて読むと、企画と物語を一緒に組み立てられます。
企画書はそのまま紹介文の下書きになる
企画書に書いた「ひとことで言うと」「感じてほしいこと」「ほかのゲームとの違い」は、ゲームを公開するときの紹介文にそのまま使えます。 たとえば Steam でゲームを販売する場合は、ストアページに説明文、スクリーンショット、予告編などを用意する必要があり、Steamworks のドキュメントで準備の方法が案内されています。

企画の段階で「誰に、何を感じてほしいか」が言葉になっていれば、公開のときに慌てて紹介文を考えずに済みます。Steam での販売の流れは Steam でゲームを販売する方法、無料で公開できる場所はフリーゲーム投稿サイトで紹介しています。
まとめ
- ゲーム企画書は「どんなゲームで、何が面白いのか」を伝える資料。仕様書のように細かく決めるものではない
- 個人制作でも、作る範囲を絞り、迷ったときに立ち返るために書いておくと役に立つ
- タイトル、ひとことでの説明、遊んでほしい人、基本の遊び、見た目、制作の範囲を1枚にまとめる
- 企画書の言葉は、公開するときの紹介文の下書きになる
最初は、テンプレートの「ひとことで言うと」の欄だけでも埋めてみてください。その1行が書ければ、作りたいゲームの姿がぐっとはっきりします。
完成したゲームは、Devoch に掲載して、遊んでくれる人に届けることができます。